熱中症対策が重要になるこの季節。水分補給の考え方についてまとめました。
どれぐらいの水分が必要?
年齢や体質にもよるが一般的な人の1日の水分出量は約2500mlと言われています。
- 尿:約1,500ml
- 不感蒸泄(呼吸とか):約900ml
- 便:約100ml
スポーツをしている場合や夏場は汗をかく分、意識して水分の摂取を心がける必要があります。また、大量に汗をかくと体内の水分とともに塩分やミネラルも奪われてしまいます。水分だけでなくミネラル(特に塩分)の補給も心がけたいです。
なぜ塩分が必要なのか?
簡単に説明をすると塩分(Na)は体に水を貯める力です。
大量に汗をかくことで水分とNaが損なわれると、体内のNa濃度が上昇し喉が乾くと言われます。Naを補給しないまま水分だけを補給すると血中Na濃度は低下し喉の乾きは潤いますが、体内の水分量は元に戻りません。したがって熱中症になりやすくなります。
「こまめに」が大切。
人間の水分吸収能力は1時間あたり800mlと言われています。これはガブのみをしても熱中症対策にはならないということです。
「こまめに」が大切。
ドリンク考察
水だけではなく、Naが重要と説明しました。これからは具体的に説明していきます。
【まずは普段の食事から】
スポーツ、レジャーで大量に汗をかくシュチュエーションではない場合。適度な塩分を意識した食事とこまめな水分補給がとても大切です。食事中には大量に水分が含まれています。自由水と言われるものです。
【スポーツドリンクの場合】
スポーツを意識した場合。熱中症対策として日本スポーツ協会では、0.1~0.2%の食塩(100g中に0.1−0.2g)と糖質を含んだものが推奨されています。エネルギーの補給を考慮するのであれば、4~8%程度の糖質濃度が推奨されています。
自分で調製するには1リットルの水、ティースプーン半分の食塩(1~2g)と角砂糖(40−80g)を好みに応じて数個溶かしてつくることもできます。
上記がスポーツドリンクは見て分かる通りかなり糖分が入っています。
※糖分は水分の吸収を助ける作用があります。また、血中では水と二酸化炭素に分解されるので細胞内の水分補給にも役立ちます。
【経口補水療法の場合ORT】
日本では大塚製薬からOS-1 が販売されていますね。熱中症予防と言われれば思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか?本来はコレラの下痢・脱水症に対して点滴ではなく経口的に有効性が認められた治療法です。
WHOが公表している組成は
Na:50−75mEq/L、ブドウ糖濃度:1-2.5%
モル濃度比でNa:ブドウ糖濃度=1:2
意味わからないですよね
塩1g=Na:17mEq、ブドウ糖(C6H12O6)の分子量が180gなので
ざっくり計算すると
0.29−0.44%の塩分
1-2.5%のブドウ糖
Na:ブドウ糖濃度=1:2
になります。
スポーツドリンクVSOS-1
ポリカスエット
100mlあたりの栄養成分表示
エネルギー 25kcal、タンパク質 0g、脂質 0g、炭水化物 6.2g、食塩相当量 0.12g、カリウム 20mg、カルシウム 2mg、マグネシウム 0.6mg
電解質濃度
陽イオン(mEq/L) Na+ 21/K+ 5/Ca2+ 1/Mg2+ 0.5
陰イオン(mEq/L) Cl- 16.5/citrate3- 10/lactate- 1
OS-1
100mlあたりの栄養成分表示
エネルギー10kcal、タンパク質0g、脂質0g、炭水化物2.5g、食塩相当量0.292g、カリウム78mg、マグネシウム2.4mg、リン6.2mgブドウ糖1.8g、塩素177mg
Na+50mEq/L、K+20mEq/L、Cl-50mEq/L、ブドウ糖1.8%
ホームページにお組成表を元にざっくり計算すると
【ポカリスエット】
食塩:0.12%
Na:21mEq/L
ブドウ糖:6.25%
ブドウ糖濃度:350mol/L
Na:ブドウ糖濃度=21:350=1:17
【OS-1】
食塩:0.29%
Na:50mEq/L
ブドウ糖:1.8%
ブドウ糖濃度:350mol/L
Na:ブドウ糖濃度=50:100=1:2
見てわかるようにそれぞれ組成は全く違うが目的にあっている事がわかります。
スポーツドドリンク、経口補水液それぞれに適したシーンがあることが分かります。
参考リンク
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/heat-disorders/replenish
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikisho/52/4/52_151/_pdf